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名前で呼ばない待合室へ。Webシステムと専用端末でつくった患者番号呼出システム

市川 俊介(代表取締役)
公開
2026年9月16日
名前で呼ばない待合室へ。Webシステムと専用端末でつくった患者番号呼出システム
目次
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前回の記事では、ハヴァナイスデイについて「まだ形になっていない相談から、一緒に考えて形にする会社」とご紹介しました。
では、実際にどのような相談を、どのように形にしているのか。

今回は、静岡県の糖尿病・甲状腺クリニックで開発した「患者番号呼出システム」をご紹介します。

患者さんを、名前ではなく番号で案内したい

開発前のクリニックでは、受付で番号札を渡していましたが、待合室に番号を表示する設備はありませんでした。そのため、診察の順番が来ると、スタッフが患者さんの名前と番号を大きな声で呼んで案内していました。

しかし、待合室で名前を呼ぶことは、患者さんのプライバシーへの配慮という面で課題があります。周囲の音や混雑状況によっては声が届きづらく、スタッフが何度も呼びかけなければならないこともあります。
またクリニックはいくつかの待合ソファやお手洗いがあり、スタッフが待合室まで出て患者さんを探す場面も多々ありました。

そこでいただいたのが、患者さんを名前ではなく、受付番号でスムーズに案内できないかという相談でした。

画面をつくるだけでは、現場では使えない

最初に必要になるのは、スタッフが呼び出し操作を行う管理画面と、患者番号を表示する待合室のモニターです。

ただし、それだけでは日々の診療をスムーズにする仕組みにはなりません。
診療中のスタッフが、その都度パソコンを開いて患者番号を探し、呼び出しボタンを押す運用では、かえって操作の負担が増えてしまいます。

そこで、クリニックで実際に使われているカルテファイルに着目しました。

カルテファイルに番号付きのICチップを貼り付け、専用端末のFeliCaリーダーへかざすと、紐づいた患者番号を呼び出せる仕組みを開発。スタッフは、手元にあるカルテを端末へかざすだけで操作できます。

Webシステムと専用端末を一体で開発

今回構築したのは、一般的なWebの管理画面だけではありません。

  • 患者番号と呼び出し状況を管理するWebシステム
  • スタッフがブラウザから操作できるiPad画面
  • 待合室のモニターへ患者番号を表示する画面
  • モニター用ブラウザを自動起動するRaspberry Pi端末(7台)
  • カルテのICチップを読み取るFeliCaリーダー搭載端末(5台)
  • 患者番号を音声で案内するスピーカー

これらを連携させ、一つの患者番号呼出システムとして設計しました。

カルテを専用端末へかざすと、患者番号が待合室のモニターに表示され、音声でも案内されます。iPadのブラウザからも、現在の呼び出し状況の確認や呼び出し操作ができます。

また、一度の案内で患者さんが気づかなかった場合に備え、同じ番号を再度アナウンスできる機能も用意しました。

現地で分かった、小さくても重要なこと

システムは、機能が正しく動けば完成というわけではありません。

実際のクリニックでは、モニターの設置位置、スタッフが端末を操作する場所、患者さんが音声を聞く位置など、現場ごとの条件があります。

開発から導入までの間に、熊本から静岡の現地へ計4回伺い、診療中の動きや設置環境を確認しながら調整しました。モニター表示用端末は7台、非接触のIC読み取り端末は6台を設置し、万が一の不具合にも対応できるよう予備端末も用意しました。

たとえば、案内音声が待合室へ適切に届くよう、スピーカーの配線を変更。天井から吊り下げたモニター付近の端末にはリモコン電源を設け、スタッフが簡単に電源をオン・オフできるようにしました。

どちらもシステムの画面上には現れにくい部分ですが、毎日無理なく使えるかどうかを左右する大切な改善です。

大きな声で名前を呼ばなくてよい運用へ

導入後は、患者さんを受付番号で案内できるようになり、スタッフが待合室へ向かって大きな声で名前を呼ぶ必要がなくなりました。

患者さんのプライバシーへ配慮しながら、スタッフの操作負担も抑え、院内全体の呼び出しをスムーズにすることができました。

今回の事例では、Webシステム、iPadブラウザ、待合室モニター、Raspberry Pi、FeliCaリーダー、スピーカーを組み合わせています。

しかし、大切なのは使用した技術の多さではありません。

現場で誰が、いつ、どのように使うのかを見たうえで、必要な方法を選び、一つの運用として成立させることが大切だと考えています。

Webだけ、機器だけに限定せず、必要な仕組みを考える

ハヴァナイスデイは、WebサイトやWebシステムを制作・開発する会社です。

一方で、今回のようにWebの中だけでは解決できない課題に対しては、外部機器、専用端末やICリーダーなどの機器も含めて考えます。そして、導入する場所へ足を運び、実際の運用に合わせて調整します。

「こんなことを実現したいけれど、何を用意すればよいのか分からない」
「既製品を探したが、現場の運用に合うものが見つからない」

そのような、まだ依頼内容が整理されていない段階からで構いません。
Web、システム、機器、現場運用を分けずに、必要な仕組みを一緒に考えます。

 

名前で呼ばない待合室へ。Webシステムと専用端末でつくった患者番号呼出システム
市川 俊介(代表取締役)